忍者ブログ
鈴木幸希
[PR]
2024/11/22(Fri) 21:19:05
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ドグラ・中村宏・マグラ
2007/03/09(Fri) 02:04:59

1180nakamura.jpg




















2週間くらい前だったか、現代美術館に中村宏 図画事件1953-2007を観に行った時の出来事がメモ帳に保存されていたのを見つけた為、upしますね。

中村 宏という名前を聞いても特にピンとこなかったのですが(日本の芸術家というのに目を向けてこなかったからだろうけれども)、広告を観た時に、どうも見覚えのある画風のものがあったわけです。

5~6年前でしょうか、三鷹に住んでいた時ですね。
おそらくその日もダラダラとした日をすごしていたんでしょう。中央線に乗り普段はあまり降りない高円寺へ。

高円寺というのは以前から苦手でして、なぜかって似たような古着屋しかないし、レコード屋は”伝説の!!”とか”再結成!!”とか”極悪!!”とか”変態!!”とか”元祖!!”とか”限定!!”とかいう類しか取り扱わないもんだからどうも狭っ苦しくて苦手なんです。大概ラーメン屋まずいし。

そんなこんなで高円寺のアーケードを早々に抜けて、なんとか通り(地蔵通り?)のほうまで行くと、中央線特有の”外から見たら全体的に茶色の古本屋”があるもんだから、吸い込まれるように入ったわけです。

なぜか特定の古本屋には置かれている”マリファナ・ハイ”(でかいのでかなり目立つ)を筆頭に”アシッドなんとか”や”マッシュルームなんとか辞典”、”ボブ・マーリーの歴史”、アムスうんたら”みたいな本が羅列されて、尚且つ店員がやたらにやさしい碌でもない店だったわけですが、そうゆう古本屋に大概直結して置いてある精神系の本なんかを集めていたもんだから、店内をジッと見定めていたんです。

そのうちに澁澤龍彦や乱歩、種村季弘なんかの棚(この分類も大雑把だけれど、自身が古本屋の店主だとしても、同棚に収めることでしょうね)を見ていると、”ドグラ・マグラ”なんて書いてある文庫本がある。
なんか見覚えがあるなーなんて考えてみると、大槻ケンヂが「俺はドグラ・マグラを狂うように読んで狂った」みたいなことを何かの記事に書いていたのを思い出したんです。(大槻ケンヂとドグラ・マグラが共存している人は結構いるんじゃないかな笑)

ドグラ・マグラは夢野久作の書いた中でも割と知られているものです。(今もその辺で文庫買えるし)
わりと知られているくせに、この本を狂うまで読む人はあまりいないのではないでしょうか。

どんな本か。

記憶をなくし、精神病患者扱いされていた主人公から始まります。彼は様々な手段で自分は何者かを知ろうとし、そこにはさまざまな人が現れ、読者(私たち)さえもそこに入り込んでいるし、その後は脳がうんたらかんたらみたいな医学書みたいな流れになったり、細胞がうんたらのような話を通り越して、読者は自己意識をどこにもっていくか迷いながら衝撃的な結末へ向かうわけです。(ほんとに衝撃的なので読めばいいです)

話がドグラ・マグラに集中しましたね。

その本屋には”夢野久作全集”というのが大事に飾られていたわけです。
そこにドグラ・マグラの表紙が違うものも混じっていて”なんだろう?”なんて見ていたんですね。

赤主体の言ってしまえば毒毒しい感じの。
yumeno01.jpg







←夢野久作全集






確か8000円くらいだったと思うんです。全集ではなくそれぞれが。

自身がその時買った文庫の中に、この”赤”の挿絵が入っていて、なんだかおもしろい絵だなーなんて思っていたんです。

そんなこんなで5年。
ついこの間、またそんな絵が目の前に現れると・・・・。
高円寺ではなく、清澄白河で(現代美術館)

場所と時間が記憶を曖昧にしたのかすぐには思い出せず、もやもやしていたんですが、当日展示室に入ると、もちろん夢野久作全集が並んでいるわけで、所有者は高円寺のあの店主か?なんて思いながら観ていたわけです。
494_1_3.jpg












中村宏さんはまだ健在です。75歳くらいになるようですが、2002年から2004年くらいの作品はぶっ飛んでいました。(web上に画像が見当たらないので、彼の後期の作品はupできないのですが・・・)
浜松出身で造形大の教授みたいです。浜松出身で今年造形大を卒業するQrome君は講義を受けたりしたのでしょうか?笑

nakamura_hiroshi.jpg












この展示会は必ず行ったほうがいいですよ。
「趣味じゃない」とか言わないで。
新国立美術館にピカソやシャガール観にいってる場合じゃないです!

中村宏さんの時代性、内面がリアルに出ているように感じたので、正直まともに見たら疲れますけどね。
作者と同世代の人はさらにきついんじゃないでしょうか?

scan100027.jpg

PR
この記事にコメントする
NAME
TITLE
MAIL
URL
MESSAGE
PASS   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

ぶぅぅ……ぅ……ぅぅん…んん……
チャカポコチャカポコ、外道祭文キチガイ地獄、さても地獄とぉ、こことぞ問えばぁ……

その夢野久作全集は三一書房のものだと思いますが……たしか70年安保の頃と記憶しています(違ってたらごめんなさい)。当時、黒死館殺人事件とか神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)とかとともにドグラマグラが再評価されていた、と聞いています。

中村宏さん、凄いですね!なんといっていいか言語化できません! 中村さんは僕も知りませんでした。こんな凄い人のことを知らなかったなんて......でもこういう方の展覧会を東京都現代美術館でやるというのは、それも凄いですね。見たい、絶対見たい! いやぁ、4月1日までかぁ。うーむ。

tra URL 2007/03/09(Fri)19:29:49 編集
無題
これはヤバイですね!
前にメールもらったときにピンとこなかったのですが、年始に嫁とウツ美に行った時にこれ行きたいね。なんて話をしていたのを一番上のフライヤー(?)見て今思い出しましたよ・・

そいえばドグラマグラも昔嫁に激オシされた記憶が・・・
Axion 2007/03/09(Fri)20:23:01 編集
無題
AXION氏が前述しているとおりで、見に行きたいねと話していたのでした。 私もこの時まで全く知らなくて、(もしかしたら目にしていたかも...) ウツ美を後にする少し前までは詳しく知りたいと強く思っていたのですが...
おかげで大事な事を思い出しました、 行かなきゃ!
ARUBA 2007/03/09(Fri)20:48:23 編集
無題
>traさん
ぶぅぅ……ぅ……ぅぅん…んん……
めっちゃ怖いじゃないですか!笑

なんていうかこうゆう時代性にとんだものに触れる時、僕なんかはリアリティの欠片もないわけで、だからこそいい加減な目線でみて、時には笑ったりできるのですが、どうもそれでは作品の存在意義の根本を観ることができないんです。(しかしいい加減な目線はとても重要と感じています)
そんな時のtraさんの話は重要なんです。

4月までっす!
僕は馬鹿みたくカタログやらステッカーやらを買ってしまいました笑


>Axionさん
「ドグラ・マグラ、嫁が激オシ!!」なんていうコピー。
嫁と行くべきです。
おれもまた行きたいと思ってるよ。
最近のグラフィックみたいなことを初期にやっちゃってて、影響された人は結構いるんだろうなーって感じです。

>ARUBA(ようじや)さん
行ってみると確かに結構目にしている作品がありました。
時代時代で作風が大きく変化していて、それぞれが衝撃的です。
観ないと駄目です笑
ウツ美の”ウツ”が嫁旦那共通してカタカナなのが気になりました。
akarma URL 2007/03/10(Sat)00:43:12 編集
どうでもいいはなしですが、
夢野久作さんは、私の卒業した高校と
同じ高校を卒業されたそうです。
やっぱり、ドグラ・マグラ読むべきでしょうか…。
2007/03/10(Sat)01:50:55 編集
無題
>楓さん

僕は岩手県出身というだけで宮沢賢治を読みますが、(岩手の人は皆そうです。)そこで思うのが、土地に根ずいている部分(土着的)が、当時の作家さんにはあったんじゃないかということです。
その感覚を少しでも感じることができるのではないでしょうか?
同じ高校ともなれば何かの因果関係すら・・・。

読むと戸迷面喰(ドグラマグラ)しますよ。
akarma URL 2007/03/10(Sat)03:36:24 編集
無題
こんばんは、ようじやですー。

半世紀分の作品は見応えあるんでしょうね。最近のぶっ飛んだ作品、気になります。
飛んでる繋がりで、「F601機」(ウェブサイトで拝見しました)は色もなくとても悲しげですね。石田徹也遺作集の表紙と、モチーフとなってるモノがかぶっていたので目にとまりました。(時代背景などから全く別ものだとは思いますが)

ウツ美のウツは単純にマネです笑 マネではなく無意識に自分の物にしてしまった口癖をakarma氏に伝授したいですねー 
ARUBA 2007/03/10(Sat)20:14:41 編集
イシイさん
>ABURAさん
石井さんの作品をnetで紹介しているところがあってので、見直すことがありましたが、作品だけ目にするとあまりに多感できつくて笑。解説でもあれば安心してみれるんですけどね。委ねられるとどうも。

観方なんでしょうね。悲しげもユーモアも。
他の鑑賞者も様々な姿勢で観てましたよ。
akarma URL 2007/03/10(Sat)23:26:16 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]

Designed by A.com