先日深夜の会社帰りの出来事。
ヘッドホンで、10年くらい前のTalib Kweliを聴いていると、
暗闇の中、後方からゆっくり車が追いかけてくる。
真横に来た時に、チラッと見るとフルスモークのベンツである。
まさかLAのラッパーの如く、ドライブ・バイ・シューティングでもされるのかと、
BGMのTalib Kweliが気持ちを煽る。
すると次の瞬間、黒いサイドガラスがあき、コワモテの男がこちらに何か言っている。
昔、バロウズを読んだ時にみた、面倒には巻き込まれろという格言が思い浮かぶ。
ヘッドホンをとり、目を合わせると、コワモテの男は少し困った顔で「すみません、道とかじゃないんですけど・・・」と声をかけてきた。
こちらから見て、車内には3人程の男が確認できる。カタギとは思えない男達である。
要件はというと、時計2つとネックレスを預かってほしい。との事だった。
あまりの急な事に小心者の自分は、とりあえず理由がないので預かれないというふうに断る。
すると、向こうも結構しつこい。
なにやら、取引ミスで事務所に持ち帰れない代物だという。
そんなものますます貰うわけにはいかない。
すると、なんかと交換ということでどうですか?とまだまだしつこい。
交換といっても、カバンにはPCと雑誌くらいしか入っていない。
手っとり早いのは金だが、時計とネックレスが本物だとすれば、何十万という話。
どうにも値段が付けようがない。
すると、かぶせるように向こうが呑み代でどうかと交渉してくる、具体的には1万円だ。
どこぞのものかわからない時計とネックレスが1万円。
よく解らないうえに、向こうはカタギではない。ここは裏道の路上。
誰が歌ったか、「どうやら私は人違いで死ぬらしい」という詩が思い浮かんだり。
彼らが単純に困っている場合、金になるし、取引がどうゆうものかわからないにしても人助けになる。
また、彼らが何らかを企み、陥れようとしている場合・・・・。
にしては、向こうに落ち度がありすぎる。
顔も知っていれば、車両ナンバーも確認できる。
出先は不明にしても、もの自体は彼らから手にしたもの。
もし金と引き換えならば、気持ちもすっきり。
殺られるおぼえもない。
間違
いがあるとすれば、やはり事後の人違いだ。
おそらく彼らは、単純に本当に困っていただけであるが、
自分が高校生か何かならば、このままひと悶着あって、流れで組入りというような映画がありそうな場面である。
で
最終的には、断りを入れ、何事もなく時間は過ぎた。
その後、誘われた酒を飲みに、稀にしかいかない六本木を歩いていると、
今度は、私を買わないかと派手な女が声をかけてくる。こんな直接的なのは初めてだった。
そんな金ないと断ったが、2万でどうだとシツコイ。
「うるさいブス」とまでは言わなかったが、そんな顔をしてやったらいなくなった。
1杯呑んだ帰り道、今度は長髪の若い白人である。
小声で「お客さん、あるよ」と、一言。人通りが多いのでシカト。
すべて、東京じゃよくある事だが、改めてみると、ちょっと面白い。
踏み込みか踏み込まないかというだけの話である。
甘い蜜には毒があるとは誰が言ったのか。。。。
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