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処女航海
2006/12/08(Fri) 21:00:48
「jazzとオーディオが好きだ」 そんなことを自我さえ芽生えていないガキが言ったところで、面倒になるだけのことです。この2つとも歴史的背景や文化があり簡単な気持ちで「触れたり」なんかしていると痛い目にあうようなことさえあるようにさえ思います。 いまや分析され尽くされて素材として扱われるjazzも、分析されたのは音階や音色だけであって、誤解を承知で言ってしまえばエナジーとしてのjazzは「jazz」のなかでしか存在しえないように思います。自分はjazzミュージシャンでも評論家でもないレコード収集者なだけなのですが、jazzという言葉が安易に発せられるとどうしても機敏に反応してしまい、多少攻撃的とすら思える姿勢で構えようとする傾向があります。 なぜjazzとオーディオか。 それは単に自分が岩手県一関市で生まれたからだというとこにあるような気がしてなりません。この町は工場地帯が周辺にあることからか数年前から外国人労働者で溢れ、そもそも町自体にポリシーがないのか商店はフランチャイズされままくり、どこかのコピーの断片のような町に仕上がっている始末。 そんな町にも国際的に厄介な人がいます。 菅原正二さん(62~63歳)。 音楽愛好者なら誰でも知っているjazz喫茶ベイシーのオーナー。 岩手県一関市に生まれたら子供の頃からそこの存在を知ることになります。その次にはオーナーの菅原さんが厄介ものであるということも。(「こだわる」ということをするとどうしても周囲からはそうゆう目でみられてしまうんでしょうね。) 初めてベイシーに言ったのは高校生の頃。 風邪かなんかで学校を休んで病院へ行った帰りに、あまった病院代で映画館に行き(この町の映画館は平日昼間に行くと1人で貸切で観れる)ブラット・ピット主演の「セブン」を観て、その内容に悶々をした気持ちになり、どうにもならない気分で蔵を改築したベイシーのドア(気圧変化を防ぐため2重扉)を開けたのです。 昼間の暗い店内に爆音のjazzとオールバックのおっさんが一人。(正直恐怖心さえある) 喫茶というからにはなにか注文しないといけないわけで800円のコーヒーをお願いすると「学割で600円ね」と菅原さんがいう。この一言で少し安心したように思います。 店内の端のほうに座り、ふと思う。 「どうしようか・・・・」 なにか本でも持っていればよかったものの手には病院でもらった薬と映画の半券しかないわけです。それに、当時コーヒーを飲みながらjazzに耳を傾けるなんて事ができるわけもなく・・・。 店に入ったときに流れていたビックバンド形式のジャズが終わり、続いてピアノ曲へ。 その曲がなんであったかは上京してから知ることになるのですが、あれは間違いなくハービー・ハンコックの「処女航海(MAIDEN VOYAGE) 」だったはずです。「処女航海」はハービーが奇をてらわずアコースティックに丁寧に仕上げた作品です。 菅原さんは客を見てレコードを選びます。(客を見すぎる事について悩んでしまうほどらしいです) 真昼間、風邪を患ったガキに「処女航海」。今その曲名を知った上で思い返すと、菅原さんはおそらく私が始めてベイシーに入った様(心境)を表していたのではないかと・・・。 jazz喫茶という形態の店は日本で生まれたものだそうです。こんないい加減な形態で全国に反映してしまったのだからレコードの溝奥がは深いです。。 そもそもなんでこんなことを書いているのか。 こないだ仕事帰りに千葉のjazz spot candyに行ってきたんです。
以前ピアニストの高橋悠治氏(1980年始め頃からコンピュータとピアノの即興をやっていた人。クセナキスも絡んでいる)がcandyで演奏したときに一度行っていたのでその時は2度目になります。 jazz喫茶ならではのたいして美味くもないコーヒーを飲んで(音が染み込んでいるから高いらしい)いると、暇そうなオーナーが声をかけてくる。 「お一人ですか?」 jazz喫茶とは基本的に会話が許されず、携帯でもなろうもんならオーナーにジロリと目を向けられトボトボと店を出るものだと思っている(そうであってほしい)ので、これにはかなり驚いた。 こちらが戸惑っている間に後押しするように「なにか選んでください」とリクエストノートを差し出された。 まさかこのときが早々にやってくるとは・・・(50歳くらいの特権だとおもっていた)。 店にはオーナーと常連風の親父が2人、後は自分の4人です。 jazzを聴きに来ている客(2人)のなかで自分が曲を選ぶのはどれほどのプレッシャーか! しかも自分はサンプリング文化からjazzを聴きはじめて買い漁るっている傾向にあるので、実は断片的(フレーズ的)名盤しかしらないんです(それでいいのだけれど)。 リクエストノートに目をやるとなぜかコルトレーン のA Love Supremeが目に焼きついた。がしかし、親父2人とともに「至上の愛」というわけにもいかない。 結局ここで選んだのはハンコックの「処女航海」。 7~8年経った今も処女航海。 どうやらまだまだ処女航海続きそうなのです。
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無題
いや、これプレッシャーだね、JAZZよくわからんけどよくわかる。
2月頃に例のROOTS Nで飲み会イベントやろうと予定してます。 いい音だけで夕方〜夜までの時間帯で。 もちろん参加してね、制限はないです(笑)
no title.
>50歳くらいの特権だと
コウキさん、ついさっき自分は若気だと言ってたけど、若気じゃないのでは・・・、笑。 ・・・嘘、笑。 その若さを、ばあちゃんに分けてほしいわ! 遅くなったけど、ブログの引越し祝いをせないかんねー。
無題
お久しぶりにコメントします。
JAZZ喫茶いいですねー。なかなか行く機会が無いんですが。 オヤジに囲まれひとりで「A Love Supreme」でノリノリというのもアリなんじゃないか、と笑える光景をつい想像してしまいました。 |